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第三種冷凍機械責任者(冷凍3種)の試験で多くの受験者が苦戦するのが「保安管理技術」です。法令は数値を暗記すれば対応できますが、保安管理技術は冷凍サイクルの仕組みを理解しなければ解けません。
この記事では、保安管理技術の重要テーマを初学者にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 冷凍サイクルの4工程と各機器の役割
- 冷媒の性質と主な種類
- 過熱・過冷却の意味とその効果
- 安全装置の種類と働き
- 試験頻出の異常現象とその原因
保安管理技術の試験範囲
保安管理技術(15問)の主な出題範囲は以下の通りです。
| テーマ | 重要度 |
|---|---|
| 冷凍サイクルの基礎 | 最高 |
| 各機器(圧縮機・凝縮器・蒸発器・膨張弁)の役割 | 最高 |
| 過熱・過冷却 | 高 |
| 成績係数(COP) | 高 |
| 安全装置(安全弁・圧力開閉器等) | 高 |
| 冷媒の種類と特性 | 中 |
| 異常現象とその原因 | 中 |
冷凍サイクルの4工程
冷凍サイクルは「圧縮→凝縮→膨張→蒸発」の4工程を繰り返すことで熱を移動させます。
工程1: 圧縮(圧縮機)
低圧・低温の冷媒ガスを圧縮機が圧縮します。圧縮することで冷媒は高圧・高温のガスになります。圧縮機はサイクル全体の動力源で、電気モーターで駆動されます。
覚えるポイント: 圧縮機は「低圧ガスを受け取り、高圧ガスを送り出す」
工程2: 凝縮(凝縮器)
高圧・高温のガスが凝縮器で冷却され、液体(高圧液)になります。この過程で冷媒は周囲(冷却水または外気)に熱を放出します。
覚えるポイント: 凝縮器は「熱を外に捨てる」機器
工程3: 膨張(膨張弁)
高圧の液冷媒が膨張弁の細孔を通過することで圧力が下がり、低圧・低温の状態になります。この時点で一部が気化(フラッシュガス)します。
覚えるポイント: 膨張弁は「高圧液→低圧状態にする流量調節弁」
工程4: 蒸発(蒸発器)
低圧・低温の冷媒液が蒸発器で蒸発する際に、周囲から熱を奪います。この「熱を奪う」効果が冷凍・冷却の実体です。
覚えるポイント: 蒸発器は「冷たさを生み出す」機器
過熱度と過冷却度
過熱度(スーパーヒート)
蒸発器出口での冷媒温度が、その圧力での飽和温度より何度高いかを示す値です。
- 適正値: 5〜10度
- 過熱度が小さすぎると(2度以下): 液バックの危険性が高まる
- 過熱度が大きすぎると(15度以上): 冷凍能力が低下
温度自動膨張弁(TEV)は過熱度を一定に保つよう自動制御します。
過冷却度(サブクール)
凝縮器出口の液冷媒温度が、その圧力での飽和温度より何度低いかを示す値です。
- 適正値: 3〜8度
- 効果: フラッシュガスの発生を抑制し、冷凍効果が向上する
成績係数(COP)
成績係数(COP)は冷凍機の効率を表す指標です。
COP(冷凍)= 冷凍能力 ÷ 圧縮機の消費動力
COPが大きいほど効率の良い冷凍機です。一般的なビル用冷凍機のCOPは2〜6程度です。
COPに影響する要因
| 要因 | COPへの影響 |
|---|---|
| 蒸発温度が高くなる | COP向上 |
| 凝縮温度が低くなる | COP向上 |
| 不凝縮ガスの混入 | COP低下 |
| 着霜(フロスト)の発生 | COP低下 |
安全装置の種類
安全弁
圧力容器や配管の圧力が設定値を超えた時に自動開放して圧力を逃がす弁。繰り返し使用可能です。
圧力開閉器(プレッシャースイッチ)
高圧側・低圧側の圧力が設定値を超えたり下回ったりした場合に圧縮機を停止させます。
- 高圧カットアウト(HPC): 高圧が上限を超えたら停止
- 低圧カットアウト(LPC): 低圧が下限を下回ったら停止
溶栓
一定温度以上になると溶けて冷媒を放出する使い捨て安全装置。作動後は交換が必要です。
異常現象とその原因
液バック(液戻り)
蒸発しきれなかった冷媒液が圧縮機に吸い込まれる現象。液体は圧縮できないため圧縮機を破損させます(液圧縮)。
原因: 過熱度不足・膨張弁の開きすぎ・着霜がひどい場合
不凝縮ガスの混入
空気などが冷凍系統に混入すると凝縮器での凝縮を妨げ、高圧が上昇します。
除去方法: パージ(排気)操作
着霜(フロスト)
蒸発器表面に霜が付くと熱交換効率が低下します。
対策: 定期的なデフロスト(除霜)
まとめ
保安管理技術を攻略するためのポイントをまとめます。
- 冷凍サイクルの4工程を完全に覚える(圧縮→凝縮→膨張→蒸発)
- 各機器の役割と冷媒の状態変化を結びつけて理解する
- 過熱度・過冷却度の適正値と影響を把握する
- 安全装置の種類と作動条件を整理する
- 異常現象の原因と対策をセットで覚える
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監修・執筆
setsucan 編集部
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