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第一種電気工事士は、ビルメンテナンス(ビルメン)業界で高く評価される上位資格です。一般住宅だけでなく、ビル・工場・病院などに設置された高圧受電設備(キュービクル)の工事・点検まで対応できる国家資格で、第二種取得後のステップアップとして多くの設備管理者が目指します。
この記事では、第一種電気工事士の概要から合格率・試験内容・受験資格・勉強法の概要まで、詳しく解説します。
この記事でわかること
- 第一種電気工事士の資格概要と取扱い範囲
- 第二種との決定的な違い
- 合格率と試験の難易度
- 受験資格と免許取得の条件
第一種電気工事士とは
資格の概要
電気工事士は、電気設備の工事・保守を行うための国家資格です。電気工事士法に基づき、無資格での電気工事は禁止されています。
第一種と第二種の最大の違いは「取り扱える電気設備の範囲」です。
自家用電気工作物とは、電力会社から6,600Vなどの高圧で受電している施設の電気設備のことです。ビル・工場・病院・学校・商業施設の多くがこれに該当します。
ビルメン業界での位置づけ
ビルメン4点セット(第二種電気工事士・危険物乙4・消防設備士乙6・二級ボイラー技士)の取得後に目指す、「ビルメン上位資格」のひとつです。
大型ビル・商業施設・病院の設備管理では、高圧受電設備(キュービクル)の点検・維持管理が業務に含まれることが多く、第一種電気工事士の取得が実務上必要になるケースがあります。
試験の種類と内容
第一種電気工事士試験は、一般財団法人電気技術者試験センターが実施します。
筆記試験(学科試験)
| 出題分野 | 問題数(目安) |
|---|---|
| 電気に関する基礎理論 | 5〜7問 |
| 配電理論及び配線設計 | 5〜7問 |
| 電気応用 | 1〜3問 |
| 電気機器・蓄電池・配線器具等 | 4〜6問 |
| 電気工事の施工方法 | 5〜7問 |
| 自家用電気工作物の保守・管理 | 5〜7問 |
| 電気工事の検査方法 | 3〜5問 |
| 配線図 | 10問 |
| 一般用電気工作物の検査 | 1〜3問 |
| 合計 | 50問 |
第二種(50問)と同じ問題数ですが、「自家用電気工作物の保守・管理」「高圧受電設備」に関する出題が加わります。
技能試験
指定された課題(配線作業)を40分以内に完成させる実技試験です。使用する電線・器具の種類が第二種より複雑になっています。
合格率と難易度
合格率の推移
| 試験種別 | 合格率(目安) |
|---|---|
| 筆記試験(学科試験) | 50〜60% |
| 技能試験 | 60〜70% |
| 最終合格率(両方通過) | 35〜40% |
筆記試験と技能試験の両方に合格する必要があるため、最終的な合格率は35〜40%程度です。第二種(筆記50〜60%・技能65〜75%)と同程度の難易度ですが、高圧設備に関する知識が加わる分だけ試験範囲が広くなっています。
難易度の特徴
- 筆記試験は50問四肢択一で、配点は1問2点の100点満点。60点以上で合格
- 第二種と比較して、高圧受電設備・変圧器・遮断器などの出題が増える
- 技能試験で使用する工具・電線の種類が多く、練習量が必要
- 最大の特徴は「免許申請に実務経験が必要」という点(後述)
受験資格と免許取得の条件
受験資格
試験の受験自体は誰でも可能です。年齢・学歴・実務経験の制限はありません。
第二種の所持も受験資格の要件ではなく、第一種から直接受験することもできます(ただし実務上は第二種取得後に受験するケースがほとんどです)。
免許申請に実務経験が必要
試験に合格しても、すぐに第一種電気工事士の免許は取得できません。免許の申請には以下の実務経験が必要です。
| 学歴等 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 電気工事士免状取得後 | 3年以上 |
| 大学・高専の電気系学科卒業後 | 3年以上 |
| その他(高校電気科卒等) | 5年以上 |
「試験合格 = 即免許取得」ではない点が第二種と異なる重要なポイントです。合格後に必要年数の実務経験を積んでから免許申請を行います。
なお、合格証書(試験合格の証明)は有効期限がなく保持できるため、試験は早めに合格しておいて実務経験を積む期間に充てるという戦略が有効です。
試験日程
- 筆記試験(学科試験): 例年10月上旬(CBT方式も選択可能)
- 技能試験: 例年12月上旬
- 申込期間: 例年6〜7月頃
- 受験手数料: 10,900円(2026年現在)
第二種電気工事士との主な違い
| 比較項目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 対応設備 | 自家用電気工作物(500kW未満)まで | 一般用電気工作物のみ |
| 試験回数 | 年1回 | 年2回(上期・下期) |
| 受験機会 | 少ない | 多い |
| 試験範囲 | 高圧設備含む | 低圧設備のみ |
| 免許取得 | 実務経験必要 | 試験合格で即申請可 |
| 難易度 | やや難しい | 比較的取得しやすい |
最も重要な違いは「免許取得に実務経験が必要かどうか」です。第二種は合格すれば即申請できますが、第一種は3〜5年の実務経験が必要です。
効率的な勉強法の概要
学習時間の目安
- 第二種を持っている方: 150〜200時間
- 第二種の知識を活用できる実務経験者: 120〜160時間
- 電気の知識が少ない方: 200〜250時間
学習の基本方針
第一種の筆記試験は、第二種の知識をベースに「高圧受電設備・自家用電気工作物・需要率・力率改善」などの新分野が加わる構成です。第二種の学習経験がある方は、差分となる新出テーマを重点的に学ぶことで効率的に合格を目指せます。
技能試験は複線図の作成と配線作業を反復練習することが合格への最短ルートです。練習キットを購入して、時間を計りながら繰り返し作業することをおすすめします。
まとめ
第一種電気工事士は、ビルメン業界で最も汎用性の高いキャリアアップ資格のひとつです。最大電力500kW未満の自家用電気工作物(高圧受電設備)まで対応できるようになり、担当できる現場の幅が大幅に広がります。
試験合格後に実務経験が必要という独特の要件があるため、早い段階で試験合格を目指しておくことが戦略的です。第二種取得後のビルメン上位資格として、ぜひ取得を検討してください。
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監修・執筆
setsucan 編集部
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